『有料老人ホームに入っても、最後の時までここで暮らせるのだろうか?』『万が一の場合、看取りをしてもらえるのだろうか?』という疑問をお持ちの方は多いと思います。

「看取り」とは、病状の改善が見込まれない方に対し、延命治療などの積極的な医療的ケアは行わず、慣れ親しんだ施設で、ご家族やスタッフなどの見送りにより、最期の時を迎えていただくケアです。

ターミナルケアとは異なり、食事や排せつの介助、褥瘡の防止などの日常生活のケアを行うことが中心です。

これまでは、高齢や病気などにより衰弱が著しい場合、医療機関で療養することが一般的でした。しかし、近年では看取り介護を行う老人ホームが増加しています。

厚生労働省の2016年度の調査では、回答した1502施設のうち、「希望があれば看取りに対応」と答えた施設は78%に上ったことがわかっています。

野村総合研究所が同年度に行った調査※(約5000施設が回答)でも、有料老人ホーム(住宅型・介護付き)とサービス付き高齢者住宅(サ高住)のいずれも65%以上が「ホームで亡くなりたいという希望があれば、受け入れる」と回答。中でも、介護付き有料老人ホームは特に高く約8割を占めていることがわかりました。

介護付き有料老人ホームでは、「受け入れない理由がない(すべて受け入れる)」という回答が35.2%と高い一方、受け入れない理由として多かったのは「夜間は看護職員がいないから」という回答でした。

住宅型有料老人ホームとサ高住では、「夜間は看護職員がいないから」「看護職員の数が足りないから」という理由が多くなっています。また、「そもそも、看取りを行う施設と位置付けていないから」という回答も2割弱を占めています。

 ヨミドクターの記事では、「常勤医がいない施設や、夜間は看護師が不在になる施設が少なくないなか、人の死に接する機会が少なかった介護職員が看取りの実質的な担い手になることが増えている」と指摘しています。

慢性的に人手不足な現場で、終末期の心身のケアや家族の支援に関する知識や技術を高めると同時に、職員の心理的な負担軽減も求められており、様々な取り組みが必要とされています。

 

あなたは、いざその時をどこで迎えたいですか?

あなたの大切なご家族は最後をどこで迎えるでしょうか?

超高齢社会のいま、終活やエンディングノートといった言葉を聞くことが増えました。

これから老人ホームに入居するにしても、在宅で生活を続けるにしても、今後の自分の生き方から人生の終わり方まで、ご自分でしっかりと考えてみませんか。

出典:・yomiDr.ヨミドクター「〔QOD〕生と死を問う]終末期を支える(下)看取る介護職育成」2017年9月4日

・LIFULL介護「老人ホームの看取り介護について」

野村証券『平成28年度 老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)高齢者向け住まいにおける認知症ケアや看取り、医療ニーズ等の重度化対応へのあり方に関する調査研究』