昨日は、『慎重に時間をかけて選んだ結果、希望していた施設に入居できなかった』話をしました。

今日は、『急いで決めてしまったために、不満を感じている。新しい施設を探したい』という話をご紹介します。

事例1

Yさん 男性 79歳 一人暮らし 身寄りなし 

要介護2 既往歴:高血圧、肺気腫、糖尿病

糖尿病で入退院を繰り返している。現在も低血糖による転倒で左肩骨折で入院中。1か月後に退院予定。

『このまま一人暮らしを続けることに不安が出てきた。いずれは特別養護老人ホームに入所したいと考えているが、とりあえず退院と同時に入居できる施設を急いで探したい』

Yさんは、一か月後に迫る退院と同時に入居できる施設を決めなければと思い、以前自宅のポストに投函されていた施設のチラシを頼りに、施設見学して、即日で入居を決めてしまった。

退院後、スムーズに施設入居となりほっとしていたが、食事量が少ないこと、通院する病院が遠く負担、別途ヘルパーの利用料が発生することを不満に感じている。

事例2

Oさん 女性 82歳 一人暮らし 同市に息子夫婦在住

要介護1 既往歴:高血圧 腰椎圧迫骨折

腰椎圧迫骨折により、家事ができない。杖歩行だが、一人での外出はむずかしい。お話好き。

『痛みもあり、家事ができない。息子夫婦も孫の世話で忙しくしており、迷惑をかけたくない。ヘルパーを利用して自宅で生活していたが、今後のことを考えて入居できる施設を探したい』

Oさんは、施設に入居したいという思いを息子夫婦に相談。嫁から「知り合いのお母さんが入居していた○○施設がよかったと聞いた」という話を聞き、○○施設を見学。スタッフの対応や施設の雰囲気も良く、入居を決めた。

入居後1か月が経った頃から、Oさんの表情が優れない。他の入居者さんは介護度が高い人が多く、話し相手になる友達ができずさみしい思いをしている。

早すぎる決断の問題点

事例1、2は、施設選びから入居までスムーズでしたが、入居後には「思っていたのと違う。こんなはずではなかった」と不満を抱いてしまっています。何が問題だったのでしょうか?

問題点①早急に入居を決めてしまった 

問題点②入居を決める前に優先したい条件を整理して考えなかった

問題点③1か所だけの施設見学で決めてしまった

Yさんは、急いで決めなければ・・と焦り、入居後の通院のことまで考えず、自宅近くの新しくできた施設を選んでしまいました。

Oさんは、家事はできなくなってしまいましたが、人とお話することがお好きです。知人の話どおり、スタッフの対応や雰囲気のよい施設で安心して新たな生活を送ろうと決意して入居しました。しかし、入居した施設は介護度が高い方の割合が多く、入居者の人との交流も楽しみたいと思っていたOさんには合わなかったという結果になってしまいました。

YさんもOさんも、入居条件として優先したいことをじっくりと考えずに、一つの施設の見学だけで「なんとなく良さそうだ」と決めてしまったことが原因としてあげられます。

施設選びは、複数の施設を見学し、優先したいことにあった施設かどうか見極めることがカギです。

施設紹介をさせて頂く立場から日々感じることですが、パンフレットや広告は正直なところ・・わかりにくいものが多い!です。

施設を見学した際に、施設の雰囲気を感じ取ることはもちろんですが、施設職員に直接『施設入居後の気になること』を聞くことがとても重要となります。

例えば、

・病院の受診はどうするのか?(職員が付き添ってくれるのか、外部ヘルパーを利用するのか、料金など)

・万が一入院となった場合に部屋の扱いはどうなるのか?(〇か月後には退去しなければならないのか、料金はどうなるのかなど)

・介護度が上がってしまった場合、医療的対応はどの程度まで可能なのか

・食事面での配慮が必要になった場合どの程度まで対応してもらえるのか

など、今後のことを先の先まで考えて疑問を解決しておくことが、新しい生活を快適に過ごす近道となります。

初めてのことでよくわからない、何を聞いたらよいのかわからないという方もおられると思います。

不安に感じておられる方は、ぜひご相談ください。