病院に入院するときや、老人ホームなどの施設に入所する際に、「身元保証人」を求められることがあります。
公益社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」(以下、「リーガルサポート」と略)の調査結果(2015年1月発表)※1によると、90%以上の病院や福祉施設で入院入所時に「身元保証人」が必要とされることがわかります。
法律により身元保証人が求められているわけではありませんが、実態としてはほとんどの施設で身元保証人が必要とされていることになります。
「身元保証人」になっている人は「親族※」が多く、「親族ではない専門職(司法書士、弁護士など)」、「知人・友人」が続いています。
※法律上、親族とは配偶者、6親等以内の血族および、3親等以内の姻族を全て親族と いいます。
ここで注目したいのは、2番目に多いのは「親族ではない専門職(司法書士・弁護士など)」だということです。
これは、司法書士や弁護士といった専門職が成年後見人となっているケースです。
成年後見人とは、高齢による認知症や、精神障害、知的障害などにより判断能力が不十分な状態にある人を法律面や生活面で保護、支援する人のことです。
家庭裁判所に申し立てを行い、選任された人が成年後見人となることができます。親族が選任される場合もありますが、身寄りがない場合や親族間でもめごとを抱えている場合などには、司法書士や弁護士などの専門職が選任されることもあります。
成年被後見人が入院する場合の契約や手続きを行うことはよくありますが、厳密には医療行為の同意はすることができず、「緊急手術が必要なので同意書にサインをしてください!!」と言われてもサインをすることはできません。
しかし、明確な権限や責任がない状態にあるにもかかわらず、成年後見人が医師から同意を求められるケースが多いのも現状です。
「リーガルサポート」が会員向けに実施したアンケートの結果によると、医療同意を求められた会員が2005年の56%から 76%(2009年)に増え、その結果同意をした会員も73%に達していたとの結果が出ています※2。
「リーガルサポート」が問題提起しているように、医療同意などについては後見人の権限とされておらず、なんらかの新しい制度が必要ではないかと思いますが、今現在身寄りがなく身元保証人になってくれる人がいない方にとって「専門職による成年後見人」の存在は力強い味方です。
いざという時のために、「専門職による成年後見人」をお願いしておくことも必要かもしれません。
松竹老人ホーム紹介センターでは、成年後見に強い司法書士の紹介もしています。
今後のことに不安を抱えておられる方も、ぜひご相談ください。
出典)シニアガイド
※1司法書士司法書士が会員となっている公益社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」。この調査は全国の病院と福祉施設を対象に行われ、603施設から回答を得ている。
参考)リーガルサポート、※2銭偉栄「成年後見人の医療同意権」高岡法学 第29号 2011 年3月
神戸市社会福祉協議会「成年後見制度の限界とそのすき間をうめるもの」(平成25年2月26日シンポジウム)
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