『無届け老人ホームの増加 困窮者向けの法定施設に』(毎日新聞2017年8月5日)という記事に目が留まりました。
記事の内容を割愛して紹介します。
古い民家やマンションを改築して高齢者に食事や介護サービスを提供する低額の介護施設(有料老人ホーム)が増えている。
劣悪な住環境や身体拘束が横行しているとの指摘がある。一方、行政に届け出をすると建物や職員配置の法定基準をクリアすることを求められ、利用料を高くせざるを得なくなる。そのため、最近はお金のない高齢者のために無届けで運営している施設も多い。…
ところが、この数年は無届施設が急増し、昨年6月末時点で全国に1207か所が確認されている。5年前の4倍にあたり、有料老人ホーム全体の約1割を占めている。
背景には困窮者が増えている現実がある。特別養護老人ホームには空きがないうえ、有料老人ホームは通常月15~20万円かかり、多額の入居金を求める施設もある。
それに比べ、無届け施設は古い民家を回収するなどしてコストを抑え、月10万円以下の利用料で運営しているところが多い。経管栄養など医療的ケアの必要な人や寝たきりの人も安価な利用料で受け入れているところもある。
無届け施設の7割は病院やケアマネージャーから身寄りのない高齢者を紹介されているとの調査結果もある。医療や福祉関係者の間では、無届けであることがわかりながら、お金のない高齢者の受け皿として頼りにされているのが実態だ。
監修を強め、劣悪な無届け施設を排除しなければならないのは当然だ。だがそれだけでは介護が必要な高齢者の急増に対応できない。
地価の高い都市部では居室面積を少し狭くしても良質な介護を提供できるところを法定施設として認め、増やしていくべきである。発想の転換が求められる。
毎日新聞2017年8月5日 東京朝刊 社説
一般財団法人「高齢者住宅財団」が実施した無届け老人ホームについての調査(2016年11~12月実施。全国692施設中225施設から有効回答。アンケート法)では、
・平均月額利用料は約10.5万円で、届け出済み老人ホームより約2万円安い。
・スプリンクラーの整備あり は 37.8%で、届け済み老人ホームの約1/2程度にとどまっていた。
・入居者の入居動機(複数回答可)は、一人暮らしで家族などの支援がない 66.7%、退院後、自宅に戻れない 62.7%
という結果となっています(朝日新聞DEGITAL 2017年7月31日参照)。
無届け老人ホームは、安い利用料で低所得や身寄りのない高齢者を受け入れている例が多く、入居者が劣悪な環境に置かれる恐れが指摘されています。
その一方で、低料金で運営するにはスプリンクラーの設置や職員数を増やすことが難しいという一面もあります。「無届け」という言葉からいいイメージをもちにくいですが、有料老人ホームとしての届出義務が生じる前から高齢者施設を運営していたところもあります。
そもそも、なぜ無届けの有料老人ホームが増えているのか?
問題の根本にある「高齢者のための住まいの不足」、これをどう解決するかが問題です。
都道府県別を見てみると、大阪府は103カ所で、北海道の409カ所に続き2番目に多くなっています。
当松竹老人ホーム紹介センターでは、届け出済の施設をご紹介させていただいています。
できる限り、ご希望の予算に沿えるようご相談にのります。
施設を探す場合は、特に衛生管理、火災発生時の対応策、ケアマネージャーの選定を任せてもらえるか、この3点をチェックしてみることをお勧めします。