先日のブログで、ある高齢者施設にファミリーマート(コンビニエンスストア)が出張販売に来ていたことをお伝えしました。

ちょうど先日のテレビ番組「ガイヤの夜明け」でも、出張メガネ修理(メガネスーパー)の話を取り上げていました。

居室でメガネの手入れ、修理を行う (ガイヤの夜明けより)

老人ホームには日用品や食品の販売だけでなく、カフェや理美容、衣類販売、さらにはイベントなど、様々な業種が出張サービスを提供しています。

一人で外出することが難しくなってきたご高齢の方やそのご家族にも大変喜ばれるサービスです。

当社も様々な業種の方から提携のお話をたくさんいただきます。

大変ありがたいことでもあるのですが、提携先を決めることは簡単ではありません。

喜んでもらえるサービスなのに、なぜ簡単に決められないのか?

以前、このようなことがありました。

知り合いの補聴器屋さんから、補聴器のことでで困っている人がいれば紹介してほしいとの依頼があり、ちょうど補聴器の調子が悪く困っておられたAさんを紹介したことがあります。

補聴器屋さんがAさん宅を訪問し、補聴器の修理をしたところ、Aさんは大変喜んでくださり、さらに補聴器を購入してくれるということになりました。

Aさんは、高額な買い物なので息子に黙っていてほしいと言いました。補聴器屋さんはAさんの思いを受け止め、そのまま商品を販売しようとしました。

その状況を知った私は、補聴器屋さんに販売を少し待つように伝えました。

この状況のまま販売してしまうことは、大きな問題となるのです。

Aさん本人が購入したいと言っているのに、なぜいけないのか?

介護・福祉サービスでは、ご本人の思いと、ご家族の思いも理解したうえでサービスを提供することが求められます。ご本人に十分判断能力がある場合でも、ご家族がその人の生活をどのように支えようとしているかという考えや思いも確認することが大切になるのです。

この場合では、たとえAさんご本人が「補聴器を購入したい」と言われても、Aさんと販売員の一対一の関係だけで判断して話を進めるのではなく、ご家族に状況を報告し、意向を確認することが欠かせませんでした。

結局、私がAさんには内緒で息子さんに連絡し、承諾を得てから、補聴器を購入してもらうこととなりました。

ご本人主体のサービスでありながらも、その方を支える家族の存在も含めてとらえる視点を持っているか、販売ありきではなくその人をサポートするという視点からサービスを提供できるのか・・・提携する業者さんを見極める際にいつも考えています。

 

参考:「ガイヤの夜明け」2017年9月26日配信“便利で快適!買い物革命”

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